「サッカーは世界を変える」というフレーズを聞くことがあるが、この本は、サッカーを媒介、手段、あるいは道具として、宗教、人種、あるいは政治を自らの信じる方向に手繰り寄せようとする人間の欲望を描いたノンフィクションで、「サッカー」という、ボール一つあれば成り立つ世界で最も普遍的なスポーツが、「世界を変える」ほどの影響を及ぼした出来事の記録でもある。
2月から3月にかけて読んだこの本−
『サッカーが世界を解明する(How Soccer Explains the Wolrd)』 By Franklin Foer(白水社)
著者は、「サッカーがあまり得意ではない」という米国人ジャーナリスト(政治記者)。
サッカー好きが昂じて、8ヵ月の休暇をとって世界のスタジアム巡りを決行し、サッカーのグロバリゼーションをテーマに一冊の本にまとめた。
結論は、サッカーの「グロバリゼーションをもってしてもサッカーの持つ地域固有の文化、確執、そして腐敗というものを消し去ることはできていない」という現実だ。
その内容は、
-スコットランドはグラスゴーにおける、セルティックとレンジャーズの戦いに潜むカトリックとプロテスタントの宗教闘争。
-いまだに存在するユダヤ人に対する差別と、ユダヤ人と関わりの深いクラブというレッテルを貼られているトッテナムやアヤックス。
-イングランドにおける、平和と愛の対極に位置する過激な政治思想に手を染めるようになったチェルシーをはじめとするクラブのフーリガン。
-サッカー王国ブラジルの政治に介入する、ヴァスコ・ダ・ガマの会長だったエウリコ・ミランダ。
-イタリアのサッカーを支配する、元首相ベルルスコーニらミランやユベントスの関係者たち。
-スペインの軍事独裁政権時代に優遇されたレアルと、その対極にあったバルサ。
そして、
-アメリカのサッカーが置かれている立場。
等々。
サッカーは、近代社会において世界が進化するための様々な課題と密接な関わりを持ってきたし、今後もそれは変わらない。
サッカーという観点から、世界を眺めてみるのも面白いものだ。
筆者があとがきで「この本を書くきっかけにもなった一冊」という
『サッカーの敵(Football Against the Enemy)』 By Simon Kuper(白水社)
を是非読んでみたい。
PAPAより
2007年03月11日
『サッカーが世界を解明する』
ニックネーム KAITO Mommy at 22:26| Comment(0)
| PAPA−日記(-2007年11月)
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